好景気をトリガーに、人材確保の目的も兼ねて「どうすれば職場環境が良くなるのか。どの様に従業員の満足度を維持するのか」という課題の相談を受けることが多い。

一般的に企業が従業員が会社をどう思っているのか計測するのに従業員満足度調査、退職インタビュー等を行うが、私にはそれで本当に会社の改善に繋がる情報が取れるとは考えられない。

従業員満足度調査で重要なのは定量的データを取るのは言うまでもないが、それ以上に重要な具体的な定性的情報が取り難い。「○○に関して5段階で評価してください。」等の質問に対しては、嫌なら嫌で簡単に低い点数をつけることが出来る。しかし、現場で起きている事象などその数値に隠れている具体的な意見や現場での事象を把握するには、やはり従業員個別の定性的情報、つまりコメントの記載が必要となる。しかし、不満を持つ社員は自身の労力を掛けてまでコメントを記載しない傾向が相当強い。気持ちはその会社には無いのである。そこまで出なくても、無力感から手間がかかるコメントの記載を嫌がる従業員も多いだろう。
退職インタビューも同様である。退職が決まり、次のステージに目が向いている従業員は、よほどの事がない限り本音を言わない。言い換えれば、言う必要を感じていない。特に出戻り歓迎の会社であれば、万が一に戻る可能性(例えば限定的な職場の人間関係による退職)を考えれば円満退社を望むので、会社にとって都合の悪いことを言うメリットがまるで無い。

従って、全く効果がないとは言わないが、従業員満足度調査、退職インタビューから会社の改善に繋がる情報を得れるとは考え難いのである。もし、本気で会社の実情を知りたいのであれば、社内で実施する満足度調査ではなく、完全匿名かつ社外に情報公開前提のVolker等、企業の評判口コミサイトへの書き込みを推奨するのはどうだろうか。完全に匿名性が守られる安心感もあるし、他の企業の情報も入手したい思いから積極的に書き込む。もちろん、考え方によっては会社の内情が公開されることでデメリットとの考え方もある。よって、如何に企業の内情を書き込ませないかを模索している経営者、人事部も少なくない。しかし、考え方を変えれば、満足度が高い社員は良いコメントを書き込み、採用に最も効果的な会社のブランディングに寄与することだろう。また、この様な取り組み自体が企業の公平性を体現する一環として評価されることにもなる。本当に変革を求めるのであれば、企業がリスクをとっても変わる姿勢を見せることが重要だ。

上記は一例に過ぎないが、従来の人事施策では対応出来ない時代に直面しているということだ。リスクを考慮しながらも、企業はパラダイムの転換が求められている。