この間久々に会った知人が、大手日系IT企業の人事部に転職したものの、ひどい状況に陥っているという話を聞きました。

その人事部は13人近い部員がいましたが、この1年で7人が退職したとのこと。
13人中7人ということは、54%の離職率。「高い」を超えて異常です。
理由を聞いてみたところ、人事部長のやり方について行けなくなり、とある管理職の退職をきっかけに部下も芋づる式に退職したとのことでした。

その人事部はA部長を含めて13人で給与計算、研修、新卒・中途採用を行っていたそうです。
A部長の下のB課長は1年前に外資系企業の人事企画から転職してきました。
その際にA部長はB課長に「労務体制の強化」と「採用チームのマネジメント」を任せたそうです。

B課長が、まず最初に現状把握を行ったところ、適切に処理されていない労務問題が複数あることを見つけました。問題があった社員へのヒアリングの内容が充分でなく、会社に非があるとは判断出来ない案件にも関わらず、A部長はその社員への金銭的解決を機密事項として行っていた事実があったのです。後に分かるのですが、実はA部長はこの会社に入社するまで労働関連法令の知識、業務が皆無でした。

採用チームのマネジメントに関しても同様に現状把握を行ったところ、2つの問題がある事が判明しました。1つは面接基準が不明確であり、また合否判定の証拠書類としては記載内容も不十分という面接プロセスの問題です。

そしてもう1つは、B課長と一緒に仕事をする採用専任スタッフのCさんです。

Cさんには採用の経験が全くありませんでした。そのためB課長はマニュアルを作成したり、OJTを実施したりとかなりの時間を費やしましたが、そもそもCさんは採用への配置転換には納得していなかったために仕事への積極性がなく、成長しませんでした。結局、人事面接、人材紹介会社とのやり取り、条件交渉、内定通知書作成は全てB課長が行い、入社月から月間残業時間は100時間を超えてしまいました。

B課長はCさんの配置換えをしないと業務に支障が出る旨をA部長に伝えましたが、A部長は「半年間は様子を見て」と答えるだけでした。結局、半年過ぎてもA部長は取り合いませんでした。さらに、本来であればA部長が対応すべき労務問題を、B課長が顧問弁護士と相談、対応を行わなければなりませんでした。

このような状態が1年間続き、B課長は心身ともに限界に近づいていました。

改めてA部長に状況と対応策を相談したところ、「まだ1年間だろう。仕事が好きなら気合いで頑張れる。俺はそうだ。」と言われ、B課長はA部長にはついていけないと感じ、退職を決意したそうです。

さらに、B課長の仕事ぶりとA部長の対応を見てきた他の管理職数名も危機感を感じて転職し、続く様に部下やスタッフも転職したそうです。

これは極端な例かもしれませんが、私も同じ様な経験をしたことがあります。強ち他人の話ではないかもしれません。

さて、この話と私の経験から「人事部長にしてはいけない基準」という7つのネガティブリストにまとめてみました。該当したら要注意です。

① 人事関連法令に詳しくない。一人で弁護士や社労士と話せない。
→労務対応は人事部長の重要な職責です。

② 従業員や労働組合との交渉経験がない。
→現場での厳しい対応も当然求められます。

③ 人事に関して社長や上役から言われた事が理不尽でも口に出せない。
→人事の専門家として、会社の為に判断しなければなりません。

④ 部下を叱ることが出来ない。
→ティーチング、コーチングも重要ですが、それ以上に叱る技術は重要です。

⑤ 小さな事でもくよくよし、周りの評判を気にする。ストレス耐性が弱い。
→繊細なのは悪い事ではありませんが、人事部長は流されてはなりません。また労務対応のストレスは相当のものです。

⑥ 人を見る目がない。
→一定以上の職位は人事部長面接を実施する会社が多いです。この際にも人を見る目は重要です。また社内での接点が多い人事部員は適切に選びたいですし、評価、配置も部長次第です。

⑦ 新しい事に着手できない。新しいものを取り入れる事が出来ない。
→更なるビジネスへの貢献が求められている人事部には、スピード感と柔軟性が求められています。考え過ぎて時期を逃すのではなく、考えながら新しいものを取り入れる、改善しながら前に進めるマインドは人事部、特に先頭に立つ人事部長に求められます。

あなたの会社の人事部長は大丈夫でしょうか?

もし、人事部長の採用に不安がある場合に弊所では中途採用のコンサルティング、面接支援を行っております。また、一時的な人事部長が不在の場合には人事部長代行も行っております。

思い当たる事があれば、お気軽にご連絡ください。