「社労士はどうやって選べば良いのでしょうか?」という質問をたまに頂きます。私は下記の3つのステップをお勧めしています。
①社労士を探す評価軸を作る
私は「会社として社労士に何を、どんな頻度でお願いしたいのか。求める品質と納期、その業務で重要視していることは何か。どんな人が担当だったら自分たちがやり易いのかを考えて、関係者が集まって紙にまとめると良いですよ。」と答えます。つまり、社労士を探す評価軸を作ります。(IT業界にいる方であればお馴染みのRFPのイメージです。)実は、これが出来てない会社も結構多く、私たちと初めてのミーティングの場で、依頼先の会社担当者が「あれもこれもやって欲しい。」という話になり収拾が付かなくなることがあります。
例えば、「給与計算・社会保険手続き」を依頼したいのであれば、採用や労務管理を得意とする社労士よりも、給与計算・社会保険手続きに特化した社労士の方が高い専門性を持っています。また、同じ給与計算でも会社毎の計算方法、システム、スケジュールに合わせる社労士もいれば、社労士事務所のテンプレートに合わせて画一的に受ける社労士事務所もいます。自社で何を求めるのかを明確にすることで、次のステップの社労士探しの精度が上がります。
②社労士を探す
業界特性に合わせて、その業界経験を持っているというのも社労士探しの要素になります。一方で社労士に幅広い業界のクライアントがいるからといってその専門性がありとは限りません。給与計算や社会保険手続きなど一定の手続きだけを行っている場合には専門性はたまりません。もし外資系ITに対応できる社労士を探しているなら、外資系ITでの実務経験者がある社労士の方が御社の状況をより深く理解してくれるはずです。
別の視点では社労士で得意不得意分野があります。給与計算・社会保険を得意分野としている社労士もいれば、私たちの様に人事業務全般を経験した強みを活かして人事企画・労務対応・採用のアドバイザリーや人事プロジェクトを専門分野としている社労士もいります。同様に、助成金に強い、人材開発に強い社労士もいます。ここで一つ留意して頂きたいのは、資格は取得したが全く業務経験がない社労士も市場にいるということです。社労士のホームページのプロフィールを見ると人事経験も社労士経験が無いも関わらず、「採用も人事制度も労務管理も出来ます!」と豪語する社労士がたまにいますので、こういった社労士には注意が必要です。社労士は試験で労働法令や社会保険関連法令は学んでいますが、それと社労士実務や人事実務の経験があるかどうか=資格を持っているのと実務は別ということをご留意ください。
③社労士を評価する
ある程度社労士が絞れたら、直接会って話をします。メールや電話では伝わらない雰囲気や社労士のコミュニケーション力が分かります。また、必ず複数の社労士と会って下さい。私は知人の紹介であっても「私たちの他にもたくさんの社労士がいますから、複数と会ってください。その上で一番御社にとってやり易い社労士を選んでください」と必ず説明しています。正直、競合他社がなく仕事を頂けるのは有難い話なのですが、その後も長いお付き合いになることを考えると、きちんと比較して最も会う社労士を探すことが重要です。そして、最後に冒頭で説明した「社労士の評価軸」を元に、社労士に提案書の作成とプレゼンをして貰うというのも良いと思います。提案書を見れば、その社労士の実力、経験値の深さが分かります。
「結構大変だ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、採用と同じで適当な面接だと適当な人しか集まらないということになり兼ねません。社外の専門家を採用すると考え、納得感を持って社労士を選んで頂ければと思います。